阿部一族

阿部一族・舞姫 (新潮文庫)
森 鴎外
新潮社
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ごめんね阿部一族しか読んでいない。
この本を読もうと思ったきっかけはめちゃくちゃ薄いこととNHKクドカンあまちゃんやる前に阿部サダヲ主役?に阿部一族って特番やってたから元ネタ知りたいな〜と思ったから。端的にざっと評すると「殉死を取り扱った歴史小説」である。殉死って太陽に吠えろでなんじゃこりゃあ〜〜〜って死ぬことの意味じゃなくて、昔はお殿様が亡くなったら近くにいた側近とかが後を追って切腹することが当たり前で一種のステイタスだったの。なぜステイタスになるかというとただお手伝いしていたら死ぬ権利?与えられるわけじゃなくて殿様直々に許可を貰わなきゃいけないし、直に許可がいただけるほど近くに務めていたことの証拠にもなる。おまけに死ぬと遺族は当然困るんだけど、今で言う遺族年金のような生活が保証されたり階級が上がるので遺族も恩恵を貰えるんだよね。というわけでみんなこぞって殿様が死にそうになると後を追います〜!って言って、殿様側も悪いなと思うけど許可を出したりしていたのだった。*1で、この本の主人公・阿部弥一右衛門が殿様に「な〜んかいじわるしたくなる」って理由だけで、許可を出さず、息子の手助けをしてくれと遺言を残し死去。まわりの家臣が後を追う中「なんであいつだけ死なないんだ?」って目に晒されて、命を惜しんでいるわけではないのにそういう噂が立って、腹立って切腹したったけど殿の意向ではないから殉死の遺族扱いされなくて、殿の葬儀で髷を切って殿のために死ぬ覚悟くらいある!っていうけど普通に無礼者っていわれて処刑されるという話。すごい薄いから読んで欲しい。森鴎外の本なんか教科書に載ってるのは資料だけでちゃんと読んだことはないけれど今読んでもとっても読みやすいよ。阿部家の気持ちわかるし、わからないのは竹内数馬くらいだwあいつなんやねん。無礼者〜〜ってされて長男が処刑されてそれで終わりでいいのになんで一族焼き討ちされなきゃいけないんだろう???悔しくて嫌な思いしてるのは阿部家じゃん。なんでお上が打ちとれっていったの??つーかそこまで無礼なの?阿部弥一右衛門もそこまで大事になると想定していなかったはずで殉死に値するほど最側近だったのは周りの人から見ても明らかなのになんでやることなすこと悪い方に進むんだろうねwダンサー・イン・ザ・ダークみたいだねって思いました。深作欣二版のドラマSPが見たいです。

*1:wikiによると本来殉死の許可は死にゆく主君ではなく、跡を継いだ新主君が許可を出すものらしい。そりゃそうだ、死を予測なんて不謹慎だもんな