シティ・オブ・ゴッド

★★★★☆
これは重いな〜
神映画と名高いシティオブゴッド。あらすじはブラジルのスラム街『神の町』で起こる日常と非日常。ものすごい貧困層で子供ギャングが荒れに荒れてる街なのね。そこで起きる抗争。
この映画で凄いなと思ったところは殺人・強姦・ドラッグなんでもござれの無法地帯なのにそれを普通にポップに明るいとすら感じるくらい普通に演出してる所。普通は、道徳的にも、いくらギャング映画でも殺人のシーンはこわ〜い感じにしたりじめじめした暗い場所で殺害することで見てる方に”非日常感””嫌悪感””気味の悪い”感情を植え付けさせたりとか、「こわいこと」「わるいこと」ということを強調して演出したりお涙頂戴演出したりするんだが、もうふつーに殺してしまってふつーに友達や気になる女の子とマリファナしたりふつーにふつーにBGMはポップな曲調でお送りされるわけです。それが狂気というか恐ろしくて、シティオブゴッドでは日常なんだという事がわかる。
さらにこの映画では全編スラムロケを敢行し、キャストの大半はスラム街の住人が演じている。その割には演技上手くて、セリフも自然だった。それがまたリアルさを募る。
主要キャストとしては普通の子・ブスカペ、賢い・ベネ、悪党 リトル・ゼの3人。前半はその兄ら3人トリオが街を仕切っていて事件後はリトル・ゼが支配し、リトル・ゼが死ぬと今度はまた別の子供たちが支配していく…。貧困と暴力に終わりはないし、低年齢化しているから命の重みが分かっていない無邪気な殺意で命が奪われていくという事。考えさせられました
とはいえストーリーの中心はリトル・ゼらの世代。ブスカペはカメラをゲットしてから写真を撮る事が好きになり、ジャーナリストになることが夢になった。リトル・ゼは麻薬売買で富をなしていきその力でシティオブゴッドを支配していくようになる。リトル・ゼの麻薬ビジネスが成功したのは親友のベネにあった。ベネは胆略的な暴力や争いを嫌い、対話で物事を解決したりと賢く、人徳があり彼女も作った(ブスカペの好きな女の子)とここから物語は急展開していくんだよね。子供が盗みをやったりというのも日常的に行われてるんだけどもその処刑シーンがきつい。それだけでなくいろいろときついシーンが多いんだが、リアルってこんなもんだなっていうあっけらかんとした後味の軽さがあり、それがまた怖い。ネタバレになってしまうんだがエンドロールに本物の「二枚目マネ」のインタビュー映像が流れセリフも一字一句劇中と同じなのだ。そうこれは本当に起きた出来事で今も神の町では同じような出来事が繰り返されているのだという証明になっていた。
ブラジルといえば、今度W杯も五輪も開催されるしBRICsとか言って経済成長も著しい陽気なサンバのラテン国というイメージだが、陰の部分も大きく、私たちは途上国の現実に目を背けてはいけないと感じた。